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鞘無し縛り子、ソロウカム達成しましたよ。 と言う訳で今日は言ってた通り書きます。 その前に、前2話を読み返すことをお勧めします。 この話への成り立ち2・21(B&H・T)の記事へ 始まる前夜2・25(B&H・U)の記事へ では、お楽しみくださいませ。 〜属性姉妹と戯れB&H・V〜 「そもそもB&Hって何?」 「バレンタインデーとホワイトデーのことらしい」 「へー」 *** 「さて、朝食の片付けも済んだし・・・・・・、洗濯を誰かに手伝ってもらおうかな」 長女――地沙が洗い物を片付け終わり、呟く。既に五女――魅影は仕事で家を出ていることを知っているので、他を当たる。 「シッポ〜、洗濯物〜、ってあれ?」 2階の二女――疾穂の部屋に来て頼みを聞いてもらおうと思ったが、大量に風車が置いてあるその部屋に疾穂の姿はない。ただ、窓が開いて陽が差し込み、カーテンを揺らし、風車を回しているだけである。 「何だ・・・・・・、何処か行ったのか。じゃあ次は凍子」 二つ隣の二女――凍子の部屋を訪ねる。誰もいない。あったのは寒い空気だけ。 「あ?こっちもいないのか。じゃあカホと雷菜か」 六女――雷菜と七女――香焔の部屋を見ても誰もおらず、書斎にも姿はなかった。 「ありゃ、どうしたことやら」 期待もせず、四女――毒恵の部屋へ向かう。そして中に入ると、毒恵はそこに姿があった。 「ねえ毒恵、シッポ達何処行ったか知らない?」 「それなら皆何処かへ出かけて行きましたよ、地沙お姉様」 「出かけた?ふ〜ん・・・・・・。んで毒恵、今暇かな?」 「馬鹿言わないでお姉様。今日の朝から大量の処方せんが届いて薬作りに大変なの。頼み事はNOだわ」 確かに、普段いつも着いている机の前に大量の処方せんの紙と、それに関する薬剤が大量に並べられていた。 「ああ、それはすまんかった。じゃあ、仕事に集中してて」 と言って、地沙は部屋を後にした。そして廊下でぼやき始める。 「何だ・・・・・・?まさか、もう行動を始めたってことか?でもまださすがに早いでしょ〜」 まだこの時、地沙はあまりに鈍かった。 *** 「さてさてっ、何処で渡しちゃおうか?」 朝食後、すぐに家を出てきた雷菜と香焔は不定期回り馬車を使い、気分だけで南の観光名所に来ていた。ここは各精霊や属性、神器などを多く奉ることで有名な場所である。年に1度の奉念紀の日はここで祝祭が行われる。だが、それ以外でも昔からあるものが観光の場所として有名である。 「こんな所まで久々に来たから、何か不安なんだけど・・・・・・」 チョコを大量に入れたバックを手に、久々な境地。こんな所に来るならもっと気楽な気分で来たかった香焔。しかし、今回ここに来た理由がちょっと曲がっている。 「そんなこと言ってらんないよ。何せ、チョコを渡すためにやってきたんだから」 (それだけの為にこんなところも来る必要は・・・・・・) 香焔は思いの内だけに留めた。今はどうやって渡していくか考える。 観光名所を並ぶ街並みを歩いていると、とある店の前でアニマ種の中年男が話し掛けてきた。 「おう嬢ちゃん達、ちょっと頼み事があるんだが、時間良いかね?」 話しかけられ、雷菜と香焔は互いの顔を見合わせた後、雷菜が返事した。 「うん、良いけど何?」 「実はな、今年の奉念紀に使う衣装でちょっと着てもらいたいんだ。嬢ちゃん達はスピリット種だろ?だから精霊を奉る衣装がぴったりだと思ってな。どうだ、頼めるか?」 「良いよ。じゃあささっとやろうよ」 「ちょ、ちょっと雷菜ちゃん」 「いいじゃん、その方がこれ、渡せるかもよ?」 「おう、引き受けてくれるか!じゃあ店の中に用意してるから着替えてくれよ」 そう言って、男は二人を店――衣装店の中へ案内した。 これは・・・・・・、ちょっと凄い。 まあ堅く言わず着替えてくれい。女房がいるから苦労はせんぞ 「おお、似合ってるじゃないか。うんうん、今年はこれで問題ないぞ」 そう言って満足げに笑う中年男。着替えた二人はいつもとは全く気慣れない衣装に戸惑いを見せる。 「うひゃー・・・・・・、こんなの初めてだよ。こんなの着るんだね」 「何と言うか、恥ずかしい・・・・・・」 雷菜の服は普段動きやすい白の長袖シャツの上から袖なしの翠色の衣を上から着て黄色の帯で締めている。下は至って普通の長ズボンを履いている。今着ているのは黒と黄を中心とした色遣いで、半袖のギザギザとして、丈の長いシャツ。下は何と膝の上までしかない黄色のラインが走った黒のミニスカート。一応、黒のスパッツを履いているので激しい運動にも対応している。 一方香焔の服はと言うと、緑のローブの上に赤いマントを羽織っている。今は橙色の上に赤の紋様を施したシャツ。丈は横が長く、下に行けば行くほど紅くなっている。下は紅に染め上げた長ズボン。普段、人前で露わになることが無い鎖骨と肩が露出している。 二人とも、線が細いのでそこそこにその衣装を着こなしている。しかし、普段このような大胆なものを着ないせいか、恥ずかしさが隠せない二人である。 「ちょっとおじさん、これ何でこんな時期にこんな服な訳?」 「確かに、これで外に出ると寒い・・・・・・」 「ハハッ、今年の奉念紀は夏にあるからな。それで涼しい衣装な訳さ。ところで」 クエスチョンマークが頭の上に出て来そうなほど二人は一瞬ポカンとした顔になった。男が手にしているのはチョコが大量に入ったバック。 「これは一体何だい?これから何処かで振舞うとか」 「ああ・・・・・・、それはですね、誰でも良いので男の人に渡してしまおうと思っているんです」 「へぇ、なるほど。バレンタイン期間だからか。ふーむ、よし、おっさんが一つ仕事を買ってやろう」 「え、そんな頼むことでもないって」 「気にすんなって。でも仕事はしてもらうけどな。内容はこうだ。嬢ちゃん達がおっさんと一緒に宣伝する、集まって来た野郎どもにチョコを渡す、っていうことだ。宣伝にもなるし、嬢ちゃん達の目的も果たせるって訳だ。それも精霊に見立てた子から貰えるんだ。一種のイベントとして受け入れてもらえるぞ。良いことだ」 「おー、楽しそうだね。香焔ちゃん、やろうよ」 「確かに・・・・・・、うん、やろう」 「よぅし、話は早い。一応、俺が気温変化防止を周りに張るから寒くはないぞ。じゃあ外で宣伝といこう」 *** 「・・・・・・はあ」 図書館開館前、書架の整理と配架を終え、いつもの貸出返却のカウンターの席に着いた魅影は溜息を漏らした。自分の影には自分の体重の約3分の2のチョコが入っている。朝、家を出る前に昨夜頼んでいたチョコを全て『影落とし』で影に入れたのだ。自分の影を見落とす。 「どうしたんだい。まだ開館してもいないというのに」 マジック種の館長が心配そうに話しかけてきた。魅影はちょっと首を振る。 「・・・・・・いえ、個人的な悩みです。気に掛けないでください」 「そうかい。それじゃあ今日もよろしく頼むよ」 そう言うと館長は奥の事務室へ入って行った。そして図書館は開館した。 いつも通り、利用者が図書館の本をカウンターに持ってくる。 そうやって普段どおりに貸出の受付を行っている魅影は思い切った行動を取る。 「あ、あのっ・・・・・・」 「ん?どうかしましたか?」 「・・・・・・これ」 顔を真っ赤にしながらも、持ってきたラッピングされたチョコを本を貸し出した相手に渡した。相手は少し戸惑った後、微笑み、礼を返す。 「ありがとうございます」 「い、いえっ。こちらこそ、ありがとうございますっ」 慌てて、返す魅影の顔はまさに茹でられたタコそのものだった。闇の精霊種なのに、頭から湯気が立ち上っている。 渡した相手が帰った後も、顔を真っ赤にしてその場で完全に沈黙状態に陥っていた。 「あのー・・・・・・」 「はっ、はいっ!な、何ですか!?」 貸出しを受けたい利用者の声に、ふと我に帰り、普段とは全く違う声で応対する魅影。 「これ、借りたいのですが」 「ちょ、ちょっとお待ちくださいっ」 本と利用者カードを受け取り、一瞬でその貸出と返却の期日を帳簿に書き入れると、本の裏の貸出紙にスタンプを押した。 そして、自分では無意識の内に本の上にラッピングチョコを載せて、相手に差し出す。 「あのー、これは?」 「あ・・・・・・」 自分で置いたことを思い出し、さらに真っ赤になる。今にでも『影渡り』を使ってその場からいなくなりたい気分に駆られた。 「いいんですか?じゃあ有り難く貰っておきます。では」 魅影はもはや赤面した顔を上下させることだけしかできなかった。異変に気付いた館長が出てきて、ボーっと魅影に話しかける。 「魅影君?」 返事がない。赤面して呆けている魅影はそのまま椅子ごと横に倒れた。 「ん!?魅影君、魅影君!?」 「・・・・・・ん、あ」 魅影が目を覚ましたのは図書館職員の休憩室である。置かれていたソファの上で寝かされていた。 「おお、目覚めたかい。倒れた時はびっくりしたよ」 「館長さん・・・・・・?あれ、私、いつの間に・・・・・・?」 「何かボケーっとしているから話しかけたらいきなり倒れたもんだから、何かと思ったよ。それで、どうしたんだい、急に倒れて」 「・・・・・・その、ですね」 倒れた理由があまりの緊張なんて、言える訳がない。躊躇ってモジモジとしてしまう。 「隠れるのは得意なのに隠し事は苦手なんだな、君は。何だい、人との関連かい?」 「・・・・・・はい。実は」 魅影はとりあえず、チョコを渡すことを賭け事とは言わず、姉に言われた仕事と話した。館長は納得したように顔を上下させた。 「そうかい。なら、私も協力しよう。これから1週間、本を貸し出す人にチョコを渡す。チョコを渡した時にそのカードに名前を書いてもらう。こうした方針を取ろう。これで良いかな?」 「・・・・・・いえ、これは私が渡さなければ意味がないので、このことだけを理解してもらえれば結構です」 「そうか。チョコを渡すことについては何ら問題はないよ。他の職員にも伝えておこう。君は好きに渡してくれれば良い」 「・・・・・・有難うございます」 「でも、大丈夫かい?さっきみたいに人にチョコを渡す時に緊張して、また倒れたりしないかい?それが心配何だが」 「・・・・・・気を付けます」 「無理はしないようにね」 そう言って館長は事務室へ戻って行った。 少し経って、魅影も立ち、カウンターの方へ戻った。 *** 「全く・・・・・・、雪が足りないからって作れとは。高くつくぞ」 依頼で、北の氷雪祭りの準備会場に来た凍子は依頼主に毒づいていた。 「いやー、すいませんねぇ。雪が少し足りなくて。優秀な氷雪魔法を使える者がおりましても、力はそこまで強大ではないので」 「毎年氷雪祭り開いていて、何で氷のスピリット種がいないんだか。まあいい。じゃあやるぞ。周りに離れるように」 「では宜しくお願いします」 そう言って依頼主のマナ種の男は離れていった。周りから人気が無くなる。 「じゃあやるか・・・・・・。万物凍土へ、流るる我が魔力よ、願い聞きいれるならば、今片時、この地に雪を舞い降らせん・・・・・・」 天候を変えたり、気温を極端に変える魔法は巨大な力を要するとともに、詠唱を要する。しかし、凍子が詠唱したものは最も簡素なもので、マジック種が使っても手元に氷を作るのが精一杯だ。そんな簡素な詠唱でも凍子はこの場所に簡単には溶けない雪を降らせ始めた。これがスピリット種の力である。 「おお〜、さすがスピリット種様。マナ種とは大違いです」 「私にはこんなことしかできないよ。種を悪く言うな。それが個性だ」 「ほ〜、結構なことを・・・・・・。報酬は後で。この後も祭りの作業の手伝いをお願いします」 「ああ分かってる」 そう言って、雪像の設立物を見回りながら、作業を見ていく。魔力で氷を作っている青年を見て、じれったくなったりする。大きな雪像を作るのに時間をかけて小さな雪の塊を作っている中年男を見て、いらついてくる。 「あー、もう!!こんなのろのろ作業してるから必要な雪も溶けたんだろ!そこの氷!変われ!」 マジック種の青年が退いて、凍子が氷を作り始める。青年では少しずつしか凍っていなかった氷が一瞬にして透き通った氷になっていく。 氷の作業が終わった後、雪の塊を作り始めた。運びやすい雪の塊を一気に作り上げていく。あっという間に必要な個数を作り上げた。 そうして仕事を次々とこなしていると、陽が西へ傾き始めて今日の作業が終わりを迎えていた。 「いやー、作業が捗りますねぇ。毎年来てもらっちゃっていいでしょうか?」 「仕事がないから私はいいぞ。今日の分の報酬は良いから夜にこれを。ここにいる人に渡してもらいたいのだが」 一応手荷物として、チョコを大量に持ってきた。それを依頼主の男に渡す。 「はい?良いのですか?こちらから仕事を頼んだと言うのに」 「構わん。あと、その上のカードに一人一枚名前を書かせてくれ。明日も来るからその時に回収する。それでは失礼」 そう言って、凍子は家路について行った。 本日はここまで〜。 続きはまた今度。たぶんYまで行きます。はい。 |
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